文学レビュー『Catherine Certitude』(Patrick Modiano)

欧明社時代に買った仏語の文庫を読破中です。

ノーベル賞作家、Patrick Modiano(パトリック・モディアノ)が、子供のために書き下ろしたCatherine Certitude

NYでダンス講師をしているカトリーヌが、お人よしのパパと二人で、パリ10区の住居で過ごした子供の頃のかけがえのない日々が綴られています。

パパの仕事仲間や、近所の人達、ダンス友達など、個性的な人々のエピソードを挟みつつ、どことなく悲哀を帯びたカトリーヌの語り口は絶妙です。

特にパパの共同経営者、Monsieur Casteradeは曲者で、カトリーヌやパパにうるさく口出ししてくる。
次作の詩を詠むのが好きで、カトリーヌたちは彼の詩の披露が始まると、眼鏡をはずして視界をぼやけさせ、夢の国に入り込んでやり過ごす。
でも、彼が最後に贈ってくれたものは…。

Monsieur Casteradeのことは好きにはなれなかったけれど、少女時代の思い出のひとつとして、彼の存在は欠かせないのです。

ジュニア向けの小説は、難しい言い回しや、スラング、エスプリが効きすぎて難解な比喩、やたら長い文章などがないので、とても読みやすいです。

「なぜここで大過去形が使われてるんだろう?」とかいちいち立ち止まることもできるけれど、それじゃ進まないので、細かいことを気にしないでどんどん読む方が楽しく勉強になりますよね😆

しかも、イラストは「プチ・二コラ」で有名なSampé(サンペ)が担当。
カラーのイラストも挟まれていて、とても可愛らしい装丁になっています。

Catherine Certitude
著者:Patrick Modiano
出版社:GALLIMARD
楽天市場 Amazon

日本語版はこちら。

カトリーヌとパパ
パトリック・モディアノ 著/ジャン=ジャック・サンペ 絵/宇田川悟 訳
出版社:講談社
発売日 ‏ : ‎1992/6/19
ISBN:9784062057684

書籍レビュー文学
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