【2011 パリ滞在記7】
ポンピドゥー・センターは、中に入るだけなら無料なので、お手洗いを借りたり、ポストカードなどを買ったりしについ寄ってしまいます。
センター内の国立近代美術館は、もう何度も行っているし、ミュージアム・パスがなければお金もかかってしまうので、時間のないときは行かないのですが、去年訪れたとき、興味深い展覧会をやっていたので、また入ってしまいました。
「ブランクーシ、フィルム、写真展 (Brancusi, Film, Photographie-Images sans fin)」というもので、2011年6月29日~9月12日まで開かれていました。
ブランクーシ(Constantin Brancuşi)といえば、ミニマム・アートの先駆者として有名な彫刻家。ルーマニア出身で、1904年にパリに移り住み、才能を発揮した人ですね。
ポンピドゥー・センターの広場に「ブランクーシのアトリエ」があって、無料で公開しているので、行ったことがある人も多いと思いますが、羽や卵をとんがらせたような、独特の形状の彫刻が特徴的です。
私も、現代彫刻は良く分からないと思っていましたが、だいぶ前に初めてブランクーシの作品群を見たときは、とても柔らかな形状の中に、強いメッセージ性を感じて、忘れられないものとなっていました。
(下の写真はアトリエ内の作品群。2007年のもの)
今回の国立近代美術館での展示のテーマは、彫刻ではなく、ブランクーシの撮った写真や動画なのです。
あんな抽象彫刻を作る人の写真やフィルムはどんなものだろうと、気になってしまいました。
考えてみれば、マン・レイとも親交があったそうですから、写真などの作品を手掛けてもおかしくないですね。
自分の作品を写真にしたもの、自分自身を撮ったもの、人物と静物の写真を重ね合わせた不思議なアートなど、ブランクーシの彫刻作品から派生したような作品でした。
写真を重ねていろいろな試みをしているのが、特に印象に残りました。
解説によれば、この展覧会では、異なるメディア(絵、写真、動画といった媒体)を区別することなく、この彫刻家の、静止画作品と動画作品の往来を問いかけるものだそうです。
ブランクーシのアトリエでも、今後、写真やフィルムも展示されたらいいですね。
このときはアトリエには寄る時間がなかったので、残念です。
現在、今年7月まで、ブランクーシのアトリエでは、Accrochage “Histoire de l’Atelier Brancusi” という展示をしているようです。
さて、国立近代美術館といえば、ピカソやブラックを見ずには帰れません。
あと、ル・コルビュジェの作品もありましたので、急ぎ足ながらも好きな作家に絞って一通り見ました。
そしてもうひとつ、美術館のフロアからテラスに出ることができるので、そこからの眺めを堪能します。
テラスにも彫刻があるし、マレ地区や、遠くサクレ・クール寺院まで望むことができるので、ちょっと気分を開放するのにいいですね。
この日は風が強くて寒かったので残念でしたが、お天気の良いときは大好きな場所です。
★ポンピドゥー・センター(Le Centre Pompidou)
http://www.centrepompidou.fr/
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