東京日本橋にある、ブリヂストン美術館に行ってきました。
今やっている企画展は、「ドビュッシー、音楽と美術―印象派と象徴派のあいだで」。
ドビュッシーといえば、「海(ラ・メール)」とか、「月の光」とか、「牧神の午後への前奏曲」とかで有名な作曲家です。
作曲家をテーマにした展覧会。
それだけで、なんだか興味深いですね。
クロード・ドビュッシーは、19世紀末から20世紀初めにかけて活躍しました。
いわゆる、ベル・エポック。
私はこの時代が大好きで、ファーストフードがはびこる現代のパリよりも、100年前のパリのほうが断然好きで、行けるものならこの時代のパリに行きたいくらいなのです。
この展覧会では、ドビュッシーを通して、当時の芸術家たちの交流が垣間見られます。
音楽家だけじゃなくて、画家や作家、詩人など、クリエイティブな世界にいる人たちはつながっていて、相互にインスピレーションを与えあっていたのがわかります。
今で言う、クロスメディア?? でしょうか。
ドビュッシーの遺品などもありますが、ドビュッシーが親しくしていた画家や彫刻家の作品や、その時代をあらわす作品が多く見受けられました。
画家でいうと、モーリス・ドニや、アンリ・ルロールと親しかったらしく、アンリ・ルロールの娘のイヴォンヌは、仲間内であがめられいたのだとか。ルノワールも彼女たちをモデルにしています。
あと、ロダンの弟子で有名なカミーユ・クローデルとも交流があったけれど、期間は3年くらいだったとか。
死後にそんな細かい人間関係まで世界中の人に知られてしまうのもどうかとは思いますが。
さらに、この時代に流行ったジャポニズムについての展示もあって、日本人であれば興味を持ってしまいますよね。
ドビュッシーは、北斎や歌麿などの絵を所有していたのだそうです。
「海」の楽譜の表紙に、北斎の波の絵風の版画が使われていました。
なんとなく感慨深い。
そして、ドビュッシーは、絵画で言う「印象派」に属するといわれているけれども、実は象徴派なのではないか。
ただし、クロード・モネを尊敬していたし、印象派の特徴の一部は取り入れていた。
というようなことが説明ボードに書いてありましたが、なんだか、この辺は哲学的ですね。
私は音楽も絵画も詩も詳しくないので表面的にしか理解できませんが、ドビュッシーを研究すると、とっても深いものになりそうです。
でも、何も考えずに、あの繊細な楽曲を聞いて、感動したり、気持ちを静めたり、酔いしれたりするだけでも十分ですよね。
美術展会場のフロアの一つでは、ドビュッシーの曲も流れています。
ドビュッシーのことだけでなく、この時代の芸術の流れが分かる展覧会でした。
★「ドビュッシー、音楽と美術―印象派と象徴派のあいだで」
ブリヂストン美術館
2012年7月14日(土)~2012年10月14日(日)
コメント