アキ・カウリスマキ監督のフランス映画、『ル・アーヴルの靴みがき』を見ました。
ル・アーヴルに生きる人々が巻き起こすヒューマン・ドラマ、というのがキャッチコピー。
最高のハッピーエンド、という触れ込みだったので、安心して見ることができました。
フランスの港町、ル・アーヴルで靴磨きをしている年配の男性、マルセル(アンドレ・ウィルム)は、愛する妻と、忠実な愛犬とともにつつましく暮らしていた。
ある日、アフリカからの移民を乗せたコンテナが港に到着。
一人逃げ出したアフリカ人の少年を、ふとしたことから匿うことになる。
警察の目をごまかし、マルセルはなんとかして彼の親族を探してやりたいと思い、町の人々を巻き込んでいく。
というストーリーです。
一人の少年を救う、というのは普通のことですが、その描き方が淡々としていて、周りで助けてくれる人たちも、いつから仲間なのか、どれだけ事情を知っているのか、そもそもなぜ助けてくれるのか、見ている側としてはよくわからないのですが、人情がほんのり沁み渡っているといったところでしょうか。
彼の妻に起きた奇跡や、少年を追う警視の行動など、なんか府に落ちないところもありつつ・・・。
派手さがなくて、いつの間にか物事がプラスに転じているところが、この映画の味なのかな、と思います。
しかし、最後の別れもシーンも、あれだけ世話になったのに、もうちょっと涙、涙、感謝、感謝でもいいのにな、と思うのですが、少年はあっさりしてました。
ル・アーヴルには行ったことがあります。
https://une-peinture.com/archives/24655657.html
モネやブーダンが描いた、ル・アーヴルの港は広く、街は少しさびしげ。
あの街のイメージにはとても合った映画だと思いました。
ちなみに、ル・アーヴルには、印象派美術を所蔵するモダンなマルロー美術館や、不思議な展示物のある歴史博物館なんかもあります。
近くのエトルタやオンフルールにもバスで行けるので、ノルマンディ旅行の拠点としては便利なところですよ。
映画を見て、行ってみたら、また違った感想になるのかも。
★『ル・アーヴルの靴みがき』
渋谷ユーロスペース他、全国で公開中
http://www.lehavre-film.com/
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