映画&小説『99F』

昨年、秋にパリで見た映画『99F』の原作を、日本語で読みました。

ヤン・クーネン監督の『99F』は、日本では未公開のようですが、フランスではかなり話題になっていました。

まず、原作が、斬新な手法で描かれた小説で、ベストセラーだったこと。
主役を演じるジャン・デュジャルダンが、人気絶頂の俳優であること。
(今年のセザール賞の有望若手男優賞にノミネートされました)
映像化が難しそうな話を、『ドーベルマン』で有名なクーネン監督が、どう見せてくれるのかに興味が集まったこと。

肝心なストーリーですが、主人公は広告業界で幅を聞かせているプランナー、オクターヴ。
金、女、ドラッグにおぼれていた彼は、不用意な一言で、もっとも大切な女性を失ってしまう。
また、虚飾の上に成り立っている広告業界に嫌気がさし、社会を欺くような事件を起こすが、徐々に彼の人生そのものが転落していき・・・。

広告業界、ならびに社会を痛烈に皮肉った、フランス人が好きそうなお話です。
映画では、現実と妄想が入り乱れる見せ方が、印象的でした。

『99F』とは、99フランのこと。ユーロ導入前の世界が舞台になっているわけです。
この日本語版のタイトルは、『\999』。
角川書店から出ています。
世界各国で、その国の通貨がタイトルになっているようです。

正直、原作は、私たちにとっては分かりづらい。
読みやすいとは言えないでしょう。
というのも、フランス人ならば誰でも知っているコマーシャル等がパロディ化されていたりするから。
それでも、フランス人て、こういうのが好きなのかあ、というのが分かるんじゃないかと思います。

映画も、公開とまではいかなくても、日本語版DVDになって欲しいですね。

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