これは、フランス映画ではありません。
カナダ、それもケベックが舞台の映画です。
でも、全編フランス語なので、紹介してみます。
家族経営の精肉業者で働く42歳のダヴィッドは、恋人のヴァレリーから妊娠したと告げられる。
でも、一人で育てるからと父親になることを拒否されてしまう。
何しろ借金はあるし、いい加減な性格だし。
ってことで、父親になれないかと思っていたら、ある日、弁護士が訪ねてきて、ダヴィッドには533人の子供がいると告げられる。
どういうこと?
実は、23年前に提供した精子から、500人以上の子供が育っていたのだった。
そのうちの142人の子供から、身元開示の裁判を求められ、新聞にも取り上げられるほどのニュースに。
もちろん、身元を明かすつもりはなかったが、子供のうちの一人が、大好きなサッカーのチームの選手だったことを知り、正体を隠して他の子供たちにも会いに行く。
彼らを手助けしていくうちに、心境に変化が。
ダヴィッドは名乗りをあげるのか!?
奇想天外な設定ですが、だからこそ描くことのできるハートウォーミングな部分があるのでしょう。
しかし、精子提供が匿名なのは当たり前だし、父親を知りたいという子供たちの気持ちは分かるけれど、なぜ名乗り出ないことが問題なのか、よく分かりませんでした。
提供数が多すぎたから?? それはまあ、やりすぎの気もするけれど、だったら提供を受けた病院側の責任もあるのでは。
533人の育ての親はどう思っているの??
と、分からない部分もありましたが、テーマはそこではなく、主人公の成長と、親子愛、人間愛の物語です。
主人公は、仕事もおろそかだし、自由人だし、はっきり言ってダメ男だけれど、人を惹き付ける力と、困っている人を見過ごせない温かさを持っている。
そもそも、精子提供してお金を受け取ったのも、両親と兄弟のためだった。
あとは少し大人の自覚が出れば(42歳並みの)、十分に父親としての資格があるわけです。
子供たち、そして間もなく生まれる赤ちゃんと恋人ヴァレリーのおかげで、ダヴィッドの人生は、ブラボーと叫びたくなるようなものになりました。
最後の盛り上がりを、もっとこう、スカッとした感じにしてくれたら、さらに気持ちの良い映画になったのにと思いますが、単純に楽しめて、好感の持てる映画でした。
一番感動したのは、主人公のお父さんの取った行動。
うん、父親はああでなきゃ。
★『人生、ブラボー』
2011年製作/110分/G/カナダ
原題:Starbuck
監督:ケン・スコット
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