現在公開中のフランス映画、『ぼくを探しに』（原題：ATTILA MARCEL）は、アニメ映画を手掛けてきたシルヴァン・ショメ監督の初の実写作品です。
宣伝にもある通り、『アメリ』を彷彿とさせるような、フランスのエスプリの詰まった映画で、見てよかった、と思える素晴らしい作品でした。
2歳の時に、両親の亡くなる瞬間を見てしまってから、口がきけなくなってしまったポールは、二人の伯母と一緒にピアニストとして暮らしている。
ある日、同じアパルトマンに住む不思議な女性、マダム・プルーストと知り合い、彼女の助けを借りて両親の死の真相を、自分の記憶の中から探すことになる。
ポールはマダムの魔法で過去の思い出を少しずつ蘇らせていくのですが、過去のシーンで出てくる人たちは歌ったり、踊ったり、プロレスをしたりととても生き生きとしていて、見ているこちら側を飽きさせません。
そして現実のポールは世話焼きの伯母たちの指示通りにクラシックを弾きますが、知り合った中国人の女の子と一緒のときはポールの演奏に胡弓の音色が加わったり、ポールがコンクールに出場したときはポップな音楽が合わさったりと、全編を通じてさまざまな音楽が流れていました。
そもそも、冒頭では見慣れたパリの街並みとともにロックが流れるのですから、最初からすごく不思議な感覚を音楽がもたらしてくれるのです。
また、マダムの名前、彼女の出すマドレーヌという小道具、そして父の名前、マルセル。「失われた時を求めて」のプルーストへのオマージュがちりばめられています。
ポールにとっては「失われた記憶を求めて」といったところでしょうか。
最終的に、ポールは両親の死の瞬間を思い出すのですが、これがまた、誰も予想できないであろう真相で驚かされました。
ラストも意外な展開でしたが、ポールを応援してきた観客としては、良かったね、と言ってあげたくなるようなものです。見た後の気分も悪くありません。最後のシーンまで、しっかりと味わえる作品ですよ。
冒頭とラストがつながる感じが素敵なのです。
エンドロールの後にも少しだけ映像があるのでお見逃しなく。
★『ぼくを探しに』
2013年製作／106分／G／フランス
原題：Attila Marcel
監督：シルヴァン・ショメ
http://bokuwosagashini.com/
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