「ジャク・ドゥミ展」(京橋・東京国立近代美術館フィルムセンター)

「ジャック・ドゥミ 映画/音楽の魅惑」展は、『シェルブールの雨傘』(1964年)や『ロシュフォールの恋人たち』(1967年)で有名な映画監督、ジャック・ドゥミの回顧展。
京橋にある東京国立近代美術館のフィルムセンターで開かれています。
パリのシネマテーク・フランセーズで行なわれた展覧会のアジア巡回だそうです。

このフィルムセンターは、国立近代美術館の別館で、様々なフィルムの上映を行っています。
1階で上映フィルムのチケットが買えたり、4階には誰でも利用できる図書室があったりします。
今回のお目当ての展覧室は7階にあります。

まずは常設展から。日本人が撮った現存するもっとも古い動画や、映画初期のころの貴重な映写機、当時の脚本など、日本映画の歴史が貴重な資料と共に展示されています。

日本で映画が撮られるようになったのは19世紀の末。もうすぐ世紀が代わる、といった頃です。
リュミエール兄弟が生んだ映画は、日本に来てから独自の形で進化したようです。
というのも、当時はサイレント。
当然セリフはないのですが、日本では口上役という人がスクリーンの横に居て、リアルタイムで説明をしてくれたのだそうです。
トーキーになってからも字幕が定着するまでは、外国映画のセリフを生で説明していたのだとか。
当時の様子を体験できるようにもなっています。
まるで落語のような口上を映像と共に聞くことができますよ。
常設展だけでも、かなり見ごたえがありました。

そして、常設展の奥にこの企画展が展開されています。
入ってすぐに、モノクロ時代のジャック・ドゥミの作品が、抜粋で少しずつですが上映されています。
そして、彼の映画人生をたどるかのように、フィルムやポスター、その他当時を物語るアイテムが並んでいます。

日本人には身近な『ベルサイユのばら』(1978年)も、彼が監督したのですが、外国資本だったからか、本国では上映されなかったとか。
日本で人気だったことは想像に難くなく、日本版のポスターやパンフレットなどがたくさんありました。
日本の漫画を映画化したさきがけの人がドゥミだったと言えそうですね。

さらに、彼がカリフォルニアで撮った『モデル・ショップ』(1969年)は、なんとまだ無名のハリソン・フォードが主役になるはずだったんだそうです。
でも、諸事情により降ろされてしまいました。ドゥミは彼を押したようなのですが、無名だったせいでしょうか。

当時のことをドゥミの娘が直接ハリソン・フォードにインタビューしている映像がありました。

「一緒に仕事はできなかったけれど、ジャックが認めてくれたおかげで自信がついた。」

彼がこんなに有名になるなんて、誰も思わなかったのでしょうね。ドゥミは先見の明があったわけです。

晩年はあまりヒット作がなかったようですが、ミュージカル映画を切り開き、カトリーヌ・ドヌーヴを見出し、今でもファンが多いジャック・ドゥミ監督。あまり作品を知らない人でも楽しめますので、ぜひ足を運んでみてください。

展覧会は12月14日まで。
9月27日には、『ベルサイユのばら』の上映も予定されています。

基本的に写真撮影は禁止ですが、最後のフランス版ポスターは撮影ができるようになっていました。
11本もの彼の作品の抜粋がビデオで見られますので余裕をもってお出かけくださいね。

★「ジャック・ドゥミ 映画/音楽の魅惑」
東京国立近代美術館フィルムセンター
8月28日~12月14日
料金:210円(一般)
http://www.momat.go.jp/FC/demy/index.html

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