ロベール・ブレッソン監督の1971年の映画『白夜』がリバイバル上映されています。
渋谷ユーロ・スペースにて、10月27日～11月16日までの限定ということで、見てきました。
ドストエフスキーの同名小説をもとに、舞台を当時のパリに移して繰り広げられる恋の物語。
全編、静かに、語るような雰囲気に包まれていました。
主人公のジャックは、ある夜、パリのポン・ヌフの上で、美しいマルトという女性に出会う。
涙を流し、今にもセーヌへ身を投げそうな彼女を引き留め、彼女の家の前まで送るジャック。
ジャックは、どうもすぐに美人に惚れてしまう体質らしく、マルトにも恋してしまい、次の夜、同じ時間に同じ場所で待つとマルトに告げる。
翌日の同時刻、マルトはポン・ヌフに再び現れ、身の上を語り始める。
「1年後にここで会おう」と恋人と約束をした。
昨日が約束の日だったのに、彼は現れなかったと。
ジャックは、マルトが恋人に宛てた手紙を預かり、彼らの共通の友人に渡しに行くなど、マルトのために献身的な行動を起こすが・・・。
マルトの恋人は現れるのか、ジャックの恋は実るのか。
今から40年も前の話ですが、その情景はあまり今と変わっていないように思います。
もっとノスタルジックな感傷に浸れるかと思ったのに、全く古くなっていないのです。
パリの街が、東京ほど大きな変化をしていないせいかもしれません。
昔と変わらず、パリは美しい。
『最強のふたり』の感想でも書きましたが、音楽というか、音が特徴的なのがフランス映画。
この映画は、音楽が最低限しか使われていませんでした。
効果音もなし。
ずうっと、人々の足音や、車の行き交う音や、街の騒音が聞こえ、それがとても臨場感を醸し出していました。
ポン・ヌフの下、セーヌを通る船にミュージシャンが乗っていて、彼らが奏でる音楽だけが、BGMになっているのでした。
同じ『白夜』という日本映画もあるようです。
EXILEのMAKIDAIと、吉瀬美智子が出演している、2009年ごろの映画で、こちらはフランスのリヨンが舞台。
見たことはないのですが、やはり、はかない恋を描いたもののようです。
「白夜」って、日の沈まない夜ですよね。
切ない恋にぴったりのモチーフなのでしょうか。
夜のようで夜でない、夢のような晩。
ブレッソン監督の『白夜』も、しみじみとできる、夢のような83分間を与えてくれる映画でした。
★『白夜』
1971年製作／83分／フランス・イタリア合作
原題：Quatre Nuits d’un Reveur
配給：エタンチェ
監督：ロベール・ブレッソン
原作：フィヨードル・ドフトエフスキー
コメント